4.座位入浴とは?

介護老人保健施設は、一定期間(約3ヶ月)入所し日常的な生活動作などを訓練・シミュレーションし、自宅に復帰させることを目指しています。 介護老人保健施設の中には、『家庭浴を使った座位入浴』(以下座位入浴)という入浴方法によって自立支援(身体・精神・社会)・リハビリ訓練・入浴効率に成果を上げている施設があると聞きます。
今回は、広島県にある介護老人保健施設 「ひうな荘」 にスポットを当て、「ひうな荘」における『座位入浴』について理学療法士(PT)の森山さんに伺いましたので紹介いたします。

■まず、なぜ『座位入浴』が必要なのかを考える

以前は介助の必要な方がお風呂に入るには、介助者の ”力” を頼りに行っていました。そのため、介助者が腰痛を起こすケースが多く見受けられました。しかし最近では、本人の力や浮力を利用した入浴方法で、本人や介助者の負担軽減ができるようになりました。『座位入浴』はそんな入浴方法のひとつです。
『座位入浴』は適切な福祉用具の活用と本人の残存機能を利用することで、今までよりも少ない介助でも入浴が行えます。在宅に帰ってからも施設で練習した『座位入浴』や福祉用具等の環境設備を施設と同様に行うことにより本人にとっては家庭のお風呂での自信につながり介助者にとっては負担の減少につながります。

■様々なタイプがある浴槽

一般にお年寄りは、入浴する時などは肩までお湯に浸かりたいという意識が強いため、浴槽のタイプによっては危険な場合があります。 一口に浴槽といっても様々なタイプがありますがその中から代表的な3タイプをご紹介します。
浴槽のタイプ 特 徴
< 和風タイプ >
和風タイプ
  • 足を突っ張ることができるため座位保持がしやすくおぼれにくい。
  • 肩まで湯につかることができるため、その浮力により立ち上がりやすい。
  • 人工の股関節や膝関節をしている人は屈曲制限があるため、浴そう内いすなどを使用しないと危険。
  • ペースメーカーをしている方など、水位を医者から制限を受けている場合は浴そう内いすが必要。
< 和洋折衷タイプ >
和洋折衷タイプ
  • 肩までつかれて手足も適度に伸ばすことができる。
  • 体が斜めになっているため、立ち上がりがむずかしい。
  • 体の小さい方にとっては、足を突っ張る事が出来ず座位保持が難しい場合がある。
  • 浴室マットを使うと立ち上がりが行いやすくなる。
< 洋風タイプ >
洋風タイプ
  • のびのび入れるのでリラックスできる。
  • 浴槽をまたいで入る『立位入浴』では入りやすい。
  • 足を突っ張る所がないため、浮力で浮き易くおぼれる可能性がある。
  • ほぼ寝た状態で入っているので、浴槽から立ち上がりにくい。(手すりが必要)
  • 浴室マットを使うと立ち上がりが行いやすくなる。
浴槽のタイプには、それぞれ長所・短所があります。ですから状況・状態に応じ適切な浴そうを利用することが大切です。
※ 浴槽の幅が長すぎる場合は、浴そう内いすなどを利用し足が伸びきらないように台を作ってあげる事で座位維持がしやすくなります。

■それぞれ特徴がある浴槽の設置タイプ

次に浴槽の設置タイプについて考えてみます。
浴槽の設置タイプは大きく分けて「半埋め込み型」、「据え置き型」、「落とし込み型」、「埋め込み型」の4タイプがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
浴槽の設置タイプ 特 徴
< 半埋め込み型 >
半埋め込み型
  • 床面から浴槽の縁までの立ち上がりの高さが40cmある為、入浴台を使った『座位入浴』が行いやすい。
  • 床面から浴槽の縁までの立ち上がりの高さが適度なので、またいではいる『立位入浴』が行いやすい。
< 据え置き型 >
据え置き型
  • お風呂の取り替え/メンテナンスが行いやすい。
  • またいで入るような『立位入浴』では、高齢者や障害のある方、また介護者にとっても難しい。
  • 排水の関係で脱衣所との段差がついているため、すのこを使い、底上げをし入浴台を使用することで『座位入浴』をすることも可能。
< 落とし込み型 >
落とし込み型
  • 床面から浴槽の縁までの立ち上がりの高さが低いので、立位で入る際はまたぎやすい。
  • 浴槽の縁に入浴台を合わせて設置しても、利用者にとっては、低すぎてかえって難しくなる場合がある。
  • 洗い場の床面と浴槽の床面の高さが大きく違う為またぎの動作が不安定になりやすい。
< 埋め込み型 >
埋め込み型
  • 手やおしり等を使って移動される方には、入り易い。
  • 浴槽から上がる際には、腕力が必要となる。
  • 洗い場の床面と浴槽の床面の高さが大きく違う為またぎの動作が不安定になりやすい。
  • 浴槽の縁を0~10cmの高さに埋め込むので、温泉のようなムードでくつろげる。
浴槽の縁に腰をかけたり、安全にまたぐことを考慮すると、適切な浴槽の高さは40cm程と言われています。 半埋め込み型は床面から浴槽の縁までの立ち上がりの高さが40cm程あるので、入浴台を使用した『座位入浴』が行いやすいタイプです。

次のページでは実際に『立位入浴』 と 『座移入浴』の方法をご紹介します。

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