ユア・サポーター活動の様子

全国の施設・学校・病院などに移動展示車(クローバー号)でご訪問しています。

研修会

大阪府

2010/5/21

大阪府立大学/作業療法編(OT)

【作業療法編/OT】
大阪府立大学 総合リハビリテーション学部に於いて「イレクター福祉用具組立研修/作業療法編」を開催いたしました。前回、2010年1月の 「理学療法学科」に引き続きまして二回目となります。この授業はヤザキが2007年以降本格的に取組んで参りました、「ユア・サポーター」活動の一環として学校や施設等へお邪魔し未来のセラピストや既にセラピストとして活躍されている方々が日々の業務や活動での悩み事や疑問に対して少しでもお役に立てればと思い「個別研修」という形でサポートさせていただいています。

◎授業の内容
日 時 2010年 5月 21日(金) 9:00~12:00 (2コマ)
場 所 大阪府立大学 総合リハビリテーション学部
受講生 作業療法学科  23名
テーマ 「福祉用具の紹介及び、イレクターの基礎知識と福祉用具製作」

◎カリキュラム
1.福祉用具・事例紹介 (約60分)
福祉用具や住宅改修の事例を通して使用方法の習得をしていただきます。
2.展示車による商品紹介 (約20分)
弊社展示車輌で実際に福祉用具を 「見て、触って、試して、実感して」していただきます。 『福祉用具』 百聞は一見にしかず!!
3.イレクターの基礎講習 (約20分)
弊社製品のイレクターについての基礎知識の説明、その後各グループに分かれて実際に製作する商品の材料取り(イレクターパイプのカット)を行います。
4.福祉用具の製作実習 (約60分)
基礎的な講義を終えた後、図面に沿って実際に福祉用具の製作を行います。

教授 高畑 進一氏インタビュー
「学生に対して一言」
何事も、楽しんで取組んでほしいと思います。しんどいと思う事にも、何かしら楽しく思える部分があるはず。
それを見つけて、取り組んで欲しいと思います。
また、物事をよく考え、粘り強くコツコツと取組む人であってほしいと思います。 

公立大学法人 大阪府立大学
総合リハビリテーション学部 作業療法学科 教授
保健学博士 高畑 進一 氏
・兵庫県立加古川病院
・藍野医療福祉専門学校
・大阪府立看護大学医療技術短期大学部 勤務後、現在に至る。

Q1.作業療法学科の特色をお聞かせ下さい。
A1.現在、高齢者や障がい者(身体障害、発達障害、高次脳機能障害、精神障害など)の地域生活を支える支援が求められており、地域での作業療法士に対するニーズも高まっています。大学としてはこの点を重視し、医療から地域生活への円滑な移行を支援できる人材の育成が急務と考えています。このため、家族会や患者会などとのつながりも重視した教育も展開し、地域で活躍できる作業療法士を数多く育成したいと考えています。

Q2.今回のこの授業の「ねらい」をお聞かせ下さい。
A2.福祉用具に関する知識や技術は、作業療法士が当然のこととして身に付けていなければならないものです。ヤザキさんの扱っている福祉用具の良さは、アダプテーションがしやすい、つまり個別の患者さんに合わせやすいという特長を持ち、しかもかなり早く対応ができることです。一昔前の福祉用具には手作りの物が数多くありました。しかし、現在は既製品が増え、既製品以外の福祉用具の存在を知らない学生もいます。単に既製品を提供するだけでは当事者がうまく動作できない場合でも、本当にその人に適合した高さに調節できれば動作できる事もあります。当事者にジャストフィットする福祉用具を提供することの重要性、そのようなニーズにこたえる物の存在を知って欲しいというのが今回の授業の狙いです。

Q3.2000年に介護保険制度が施行され丁度10年となります。この間、数多くの企業や製品が世に出され、ある意味介護の世界が様変わりし既製品が溢れている現状ですが、先ほど伺った中に既に答えがあったと思いますが、今なぜ「イレクター」なのでしょうか?
A3.たしかに、高機能の既製品も増えました。しかし、当事者の機能は変化してゆきます。この変化に対応できなければ、たとえ高機能な福祉用具でもやがて不適切なものになってしまいます。介護保険の良さはそれらの変化に対応できること、つまり、患者さんの機能低下に応じてレンタル制度などを利用して福祉用具を変更できることです。しかし、実際には微妙な調整で変化に対応しなければならないことも、数多くあります。それができる所がイレクターの良さだと思います。

Q4.高畑先生や内藤先生は、高齢者の転倒予防として「棒体操」の開発グループの一人として深く関わっているという事ですが...
A4.「棒体操」の内容は、近日中に出版を予定しています。
大東市や姫路市に於いても 「棒体操」 に取組んでいただいています。
非常に簡単な体操ですが、一ヶ月足らずで身体機能が向上したとうことも分かっています。今年チリで世界OT学会(WFOT:世界作業療法連盟)が開催され、発案者の横井先生が発表されたところ大変な反響があり、ある国のOTの先生から是非英訳したものがほしいということでメールが届きました。この棒体操は、安く、すぐ始められ、しかも転倒予防や認知機能向上に効果があります。また、パーキンソン病の方などにも効果があります。

Q5.「棒体操」の序文に作業療法に関しての言葉が書かれていました。「作業療法とは、障害を持った方や高年齢者に対して、作る業(わざ)を訓練を通して指導する仕事」 とありました。今まで作業療法の仕事に対しては漠然とした
分かりづらいという感覚でしかありませんでしたが、この言葉は作業療法いうものを端的に言い表わした言葉だと思いますが...

A5.作業療法士が当事者に対して何かをして差し上げるばかりではなく、その方が自分で出来るように、段階的にそして粘り強く支援する。このような考え、態度が大切なのです。例えば、釣った魚を提供するだけではなく、自分で釣る技術を身につけるために、道具や方法を工夫して繰返し繰返し支援すること、これが作業療法の役割だと考えています。もちろん支援は病院だけで終わりではありません。当事者の方々には、住み慣れた地域に戻り、復学する人や仕事に復帰する人もいます。そのような方々の支援も行っています。本来、リハビリテーションはこのような部分までの支援を行わなくてはならないのです。病院から退院はしたが、家で閉じこもっている。このような状態では、本当の意味でのリハビリテーションではありません。このような範囲までを見据えた地域援助というものが必要なのです。

Q6.高畑先生とイレクターの関わり、いつ頃からでしょうか?
A6.私が藍野医療福祉専門学校時代、ヤザキの担当の方が「これで福祉用具か何か出来ないか」、とイレクターを持って来られたのが最初だと思います。その時に「椅子は出来ますか」、「出来るのであれば4脚すべてに高さ調整が利くアジャスターを付けてください」とお願いしました。なぜなら、当時のシャワー椅子を当事者がお風呂場で使う場合、水勾配があるため普通に置いたのでは座面が斜めになり、座りにくかったためです。さらに、湯船への出入りを容易にするため、お風呂の浴槽の縁の高さと座面の高さを同じに調整したい、座面は滑りにくい素材が必要と考えていました。当時、このような条件に合う既製品はありませんでしたが、ヤザキさんの試作したイレクター製のシャワー椅子(アジャスター付き)は浴槽縁とピッタリ高さを合わせることが出来、しかも座面はフラットに出来ました。「シャワーいす」のマットの厚みの件でも、「これではマットが薄くて痛い、この位のマットの厚さや弾力が欲しい」など色々話をさせていただきました。 その後、手すりに移り、「もう少し手すりらしいカラーが欲しいね」と話しをさせていただいことを覚えています。当時、私は大阪の北部で難病当事者の訪問事業に関わっており、イレクターを利用したマットやバスボードをかなりの数提供したと思います。

Q7.先生が、イレクターで最初に作ったものは?
A7.ヤザキさんと話をした時にお願いしたのが「椅子」ですので、「シャワーいす」だったと思います。

Q8.今後、イレクターに期待するものは何でしょうか?
A8.メンテナンスの簡便さは福祉用具では絶対条件でしょうね。
私は、パーキンソン病の患者会とも協力し、様々な活動をしています。その際に気付いたことがあります。それは、色のコントラストの重要性です。ある当事者の方が、「コントラストのはっきりした目印があると、非常に動きやすい」と述べられました。さらに「白いお皿に白っぽい物が載っている場合には手が動きにくい」、ところが「白いお皿に赤い物が載っていると手が動きやすい」とおっしゃるのです。確かに見えやすさは、お元気な方にとっても動作を行う際の重要な要素ですが、ご病気や高齢の方にとっては、この「見えやすさ」の重要性はなお一層増しているのです。ここからうかがい知れることは、福祉用具も背景からしっかりと浮かび上がって見えることが必要なのです。
さらには、握る部分には、はっきりとわかる「しるし」が必要です。この部分を握ることを示す「しるし」があると当事者の方は動作がしやすいのです。マジックで「しるし」を付けてもいいのですが長持ちしません。何か良い工夫ができないでしょうか。例えば可変性のあるマーカーが出来ると非常にいいと思います。
既存の福祉用具は機能性も向上し、耐久性も増しています。次に何が必要かと問われれば、すでに述べたことですが、やはり厳密にフィットさせるための機能、変化に対応できる機能、これを高めてゆくことが必要ではないでしょうか。

Q9.最後に学生さんに対して一言
A9.何事も、楽しんで取組んでほしいと思います。しんどいと思う事にも、何かしら楽しく思える部分があるはず。それを見つけて、取り組んでほしいと思います。
また、物事をよく考え、粘り強くコツコツと取組む人であってほしいと思います。

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