3.施設浴室での福祉用具活用例

それでは、実際に介護施設での活用例をご紹介いたします。
今回、取材にご協力くださいましたのは、『家庭浴を使った座位入浴』(以下座位入浴)を早い時期に取り入れた広島県の介護老人保健施設「ひうな荘」です。
従来の施設では、介助者の手間や負担を軽減する目的で、寝たまま入浴する機械浴(寝浴)と大風呂が導入されるケースが多く見受けられました。そこには、入所者の入浴に対する要望は必ずしも組み入れられておらず介助者の都合に合わせ入浴が行われている状態でした。
そこで「ひうな荘」では、本人の要望・入浴への思い・残存機能をうまく引き出し活用できるように、浴室の設計及び入浴関連用具等の物的環境や、介助者の人的環境を整備しました。
具体的には、各階の浴室に3~4人の入れる風呂(中型浴槽)とともに家庭浴槽(個人浴槽)を二槽設置しました。これには、以下の5つの理由があります。
① 自立支援 (できるだけ本人の残存機能を活用する)
② 「入らされるお風呂」から「本人が入りたいお風呂」への支援。
③ 在宅復帰を想定し自宅と同じ条件で入浴を練習する
④ 広いお風呂だとつかまるところが少なく、体が不安定となり溺れやすい
⑤ 環境整備による介護負担の軽減

< ひうな荘 浴室図 >

< ひうな荘 入浴補助具設置実例 >

注)ここで使用されている機器はヤザキ以外の製品もございます。

■『座位入浴』が行い易い浴槽の設置と福祉用具の選定

  • 背もたれがある入浴台
  • 背もたれのない入浴台
座位入浴』を行うために、 半埋め込み型の家庭浴槽と入浴台の高さを座位保持や立ち上がりが行いやすい40cm(入所者の膝下平均高さ)に設定しています。
「ひうな荘」では場所に合わせて使用できるイレクター製の入浴台をの2種類(背もたれあり/なし)作成し、浴槽と入浴台を同じ高さ(40cm)になるよう設定しています。
  • 入浴台と浴槽の高さが同じです。
  • 入浴台の4脚はそれぞれ高さ調節可能です。
フラットでない床面も、4脚それぞれ細かな高さ調節が行えるアジャスター付き入浴台で対応しています。

■健側から浴槽に出入り出来るよう工夫

「ひうな荘」での『座位入浴』 は、浴槽への出入りに健側(左右どちらかの体が動きやすい側)を使い行います。「ひうな荘」では利用者に合わせて使いやすいよう、浴槽の左右に入浴台を設置しています。
移乗台を使う場合 < 移乗台を使う場合 >
  • シャワーキャリーを使う場合
  • シャワーキャリーは浴そうと同じ高さです。
< シャワーキャリーを使う場合 >
移乗しやすいように シャワーキャリーの高さを、浴槽の高さと同じ40cmに設定しています。

■入浴台とプッシュアップ式 浴用品置台を使用し体を洗います。

体を洗う状態
体を洗う際は、入浴台とプッシュアップ式浴用品置台を使用します。

左写真の浴用品置台はイレクターパイプの中に鉄芯を入れ重くしています。ですから浴用品を置く事の他に、陰部を洗う際・腰を上げる際・立ち上がりの際につかまって体の安定を保つことができます。

( 左写真:体を洗う状態 )

■中型浴槽にも様々な工夫が

「中型浴槽」にも様々な工夫箇所があります。
  • ① 「中型浴槽」でも『座位入浴』が行えるよう、高さ調節された入浴台を設置しています。
  • ② 浴槽内すのこを設置し段差解消をしています。また浮力で浮かない程度に鉄心を入れ、取り外しが可能です。
  • ③ 浴槽グリップを設置し浴そうへの出入りをサポートします。また、簡単に取り外して移動ができます。
  • ④ 浴槽内での移動用手すり(上)と座位保持用の手すり(下)が付いています。
  • 入浴台を3台設置 < 入浴台を3台設置 >
  • 浴槽内すのこで段差解消 < 浴そう内すのこで段差解消 >
  • 壁側に手すりを設置 < 壁側に手すりを設置 >

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