5.ひうな荘 理学療法士 森山さんインタビュー

介護老人保健施設三滝ひまわり 理学療法士 佐々木万理さん
医療法人みやうち
介護老人保健施設 三滝ひまわり

曽根 万理さん( 理学療法士 )
 広島県の老人保健施設「三滝ひまわり」で理学療法士(PT)として活躍されている曽根万理さんに、施設での福祉用具の使われ方や『座位入浴』についてお聞きしました。

施設というと大きな浴槽をイメージしますが、「三滝ひまわり」では多くの家庭浴槽があるのはどうしてですか?

曽根さん:
「三滝ひまわり」の家庭浴槽
大きな浴槽はつかまる所がないため体勢維持が難しく浴槽に入れない方もおられます。そして万が一溺れた際も、すぐにスタッフが助けに行くことができないという問題もあります。これらの理由から、より多くの方が安全に入浴が行える家庭浴槽を中心に設置しました。また「三滝ひまわり」では家庭復帰をめざしています。ので、ご家庭のものに近いお風呂(家庭浴槽)で入浴練習が行えることも重要な点です。

機械浴(寝浴)という入浴法についてどのように思われますか?

曽根さん:
家庭浴槽では身体能力の面から入浴が難しい方がいらっしゃいますので機械浴も必要だと思います。ですが、機械浴の中でもできるだけ私達の入浴方法と同じ方法で行えるものを使いたいと考えています。私達は入浴時 「お湯の中につかる」感覚ですが、寝たまま入る寝浴ではお湯が上がってくる(沈んでいく)感覚ではないのでしょうか。私も体験しましたがこの感覚はとても怖かったです。ですから特に寝浴の場合は、本人に恐怖心を与えないように工夫(声かけ等)が必要と考えています。

『座位入浴』 において大切な点はなんですか?

曽根さん:
入浴される方の能力レベルの把握・入浴方法・福祉用具・各種道具の使用方法の把握が大切だと思います。入浴の度に入り方が違うと、入所者様本人も迷ってしまい毎回緊張されると思います。いつもその方にあった入浴方法を続ける事で安心して入浴でき、知らず知らずのうち残存機能を引き出し家庭復帰のための練習にもなります。その結果として、自分のペースで楽しんで入浴して頂けるようになると思います。

入浴台についてお聞きしたいのですが、どのような理由で現在の形になったのですか?

曽根さん:
「三滝ひまわり」の入浴台
浴槽に出入りしやすいように(腰掛けたまま浴槽に入る)浴槽と入浴台の高さを統一しました。入浴台を浴槽横に設置していますので、足を浴槽に入れる時や足を浴そうから出すときにマットのみでは皮膚を傷つける危険性が高いため、ターンテーブルを使用しました。ただ座位が安定していない方には、使用しないようにしています。

施設で使う福祉用具の選定において大事な点はなんですか?

曽根さん:
利用者・介助者にあった福祉用具を選ぶことが一番大事なことだと思います。
「三滝ひまわり」では残存能力を活かしながら、家庭復帰を目指した練習をくり返し行っています。したがって福祉用具の選定にあたっては、これらの手助けとなり使い勝手が良いものを選んでいます。一部イレクターで自作するものもありますが、まだ試行錯誤の段階です。

今まで家庭浴をやって感じたことはなんですか?

曽根さん:
開設して3ヶ月ですが、こんな声をききました。
もう何年を浴そうにつかってないおばあちゃん。「恐い、恐い」の一点張り。大丈夫だからと説明し、浴槽に介助で入っていただきました。そうすると「もう何年も湯船につかってない。また、入れるとは思わなかった。」と長風呂。今ではお風呂を楽しみにされています。
障害があるから機械浴になったり浴槽に入れないのではなく、工夫しだいでその方の能力を活かし普通にお風呂につかれるのだと思います。ポイントは工夫しだいかなと思います。

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