ここ10年間の間に介護老人保健施設・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の浴室も必要に応じさまざまな形に変化していきました。今までの経緯とともに最近の介護施設で見うけられる浴室までをご紹介します。
■ 機械入浴が主流だった80年代後半
【 Aタイプ 】
1980年代後半、主に介護老人福祉施設の浴室のモデル図です。
(以下Aタイプ)
主な特徴は、以下のとおりです。
・歩行ができない人のほとんどが機械入浴(寝浴)を利用していた。
・歩行が可能な人は一般浴槽で入浴した。
・入浴補助具が少なく、階段で上り下りをし一般浴そうに入っていた。
歩行ができない方は、たとえ座ることができたとしても寝たまま入る機械入浴を利用していたケースが 多かったため、利用者・介助者にとっての負担が大変大きく、円滑に入浴が行えなかったようです。
■ ”寝て入る”機械入浴から”座って入る”機械入浴へ
【 Bタイプ 】
その後、利用者・介助者の負担を減らす為に主に介護老人保健施設・介護老人福祉施設で使われた浴室のモデル図です。
(以下Bタイプ)
主な特徴は、以下の通りです。
・寝て入る機械入浴から、座って入る機械入浴へとかわった。
普段は、車いすなど ”座った ”状態で生活しているのに、入浴だけは”寝て”入るという利用者にとっても介助者にとっても負担の大きい入浴を見直そうと『座位式入浴装置』が広く利用されるようになりました。
このBタイプのようにシャワーキャリーや『座位式入浴装置』などの福祉用具を使い、利用者・介助者の 負担を減らそうと考えられるようになりました。
■ 家庭浴そうの登場
【 Cタイプ 】
1990年代中頃より、介護老人保健施設や介護老人福祉施設に家庭浴槽が導入されました。
(以下Cタイプ)
主な特徴は以下の通りです。
・家庭浴槽が導入された。
・リフト等の座って入る機械入浴の活用。
・種々な福祉用具を利用。
家庭浴槽は、入所介護をする介護老人福祉施設では限りなく家庭での雰囲気を演出するために、また在宅復帰を支援する介護老人保健施設においては施設から自宅に帰った。
後の入浴時の練習のために、それぞれ採用されるケースが増えてきました。
家庭浴槽の設置と同時に本人の残存機能の活用や介助者の負担軽減をはかる為、シャワーキャリー やバスグリップ等の限られた入浴補助用具から種々な補助用具・移乗用具が必要となってきました。
→ Cタイプの介護施設( 介護老人保健施設 ひうな荘 )
■ 最近見うけられる施設浴室の紹介
【 Dタイプ 】
最近の介護老人保健施設では、大型の一般浴槽を無くし、家庭浴槽を多く設置する介護施設が見うけられます。
(以下Dタイプ)
主な特徴は、以下の通りです。
・大型の浴槽を無くし(大きくても2人用浴槽)家庭浴槽を多く設置。
・座って入る機械入浴の活用
在宅復帰を大前提とし、自宅へ帰った後も自分で入浴ができる様に練習をする事を主眼に置かれていることがよくわかります。
→ Dタイプの介護施設( 介護老人保健施設 三滝ひまわり )
次は、実際に行われている介護老人保健施設での福祉用具の活用例をご紹介いたします。