4.フィンランドの社会福祉サービス①

■家族に対する支援対策

ゆりかごから墓場までという言葉がありますが、北欧諸国の場合は、出生以前つまり妊娠中からケアが始まります。フィンランドにおいても家族政策は、歴史的に最も早くから開始された社会福祉の政策です。その主な内容は次の通りです。産休・育児休暇が充実しています。これらの休暇はあわせて263日(労働日)あります。そのうち産休が105日、育児休暇は158日で、父親母親どちらが取得してよいことになっています。このほか出産に関して父親休暇があり、6日から30日 まで父親は休暇をとることができます。フィンランドのリッポネン前首相が在任中に父親休暇をとり、英国のブレア首相がそれに倣った事は有名な逸話です。これらの休暇の間は、所得の約66%が保障されています。また出産時には当座の育児に必要な衣類などのパッケージ(または給付として受け取ることも選択できる)が国からプレゼントされます。今日のフィンランドでは、殆どの父親が出産に立ち会うような文化が成立しているといえるでしょう。
また、出産・育児休暇後は、子供が3歳になるまで、無給ではありますが、職を失わずに育児休暇を延長することができます。その期間は、自分で保育をするので、家庭育児手当を受けることができます。家庭で保育をする親の支援をするために、プレーグラウンドが設置されており、そこで他の家庭保育をしている親と交流したり、保育専門者のアドバイスを受けたりする事ができます。プレーグラウンドは、また学童保育の場としても機能しています。
保育については、1996年に保育法が超党派の女性議員の協力で改正され、すべての6歳児は保育の権利を有するようになりました。つまり、保育を望む親には、自治体が保育を提供しなければなりません。ですから、保育はほとんど公立保育所で行われています。また、保育所の監督下に、家族保育制度もあり、一人の保育者が自分の子を含めて4人まで自宅で保育することができます。さらに、2000年からすべての6歳児には、就学前教育が行われるようになりました。親は、この就学前教育を保育所で受けるか、小学校で受けるか選択することができます。
保育時間は原則として10時間で、不規則な勤務時間の仕事をする親のために 24時間保育も用意されています。保育所では朝食を食べさせてくれるので、働く親にとっては助かるといえましょう。保育児童と保育者の割合は、0-3歳児のグループは保育児童12:保育者3、3-6歳児の場合は保育児童21:保育者3、統合保育(障害のある児童5+健常児7)では保育児童12:保育者4+必要なセラピスト(たとえば言語セラピスト、理学療法士)と定められています。保育の料金は両親の収入と家族構成によって定められますが、最高額が月額約2万5000円程度です。さらにすべての児童が16歳に達するまで、親の所得に関係なく児童手当が支払われています。
このように手厚い家族政策の結果、フィンランドの2003年度の合計特殊出生率は1.80(2002年度は1.72)に達しています。ちなみに日本においては、2003年度は1.29(2002年度は1.32)と、史上最小となっています。

■フィンランドの教育制度

小学校は7歳から始まります。労働力不足が見込まれている今日、6歳から開始すべきだという意見もあるのですが、7歳から始まるのは、できるだけ長く子供の時間を過ごすほうが、子供の発育を促すとの研究結果が出されているからと言われています。フィンランドでは小学校から大学まで、すべて教育費は無料で、このことがすべての子供に均等な教育を受ける機会を保障しています。また、9年間の義務教育期間は、給食も無料、教科書も支給されます。中学卒業後は高校へ進学するか、職業学校に進学するか進路が分かれます。高校卒業後は進学検定試験を受験しなければならず、その成績と入試の成績で、大学または職業大学校へ進学する事ができます。
大学はすべて国立で20校あります。職業大学校は公立です。学生は同じ自治体に住んでいても親から独立して離れて暮らすのが一般的で、住居手当、勉学手当てを国から受けることができます。また奨学金制度もあります。どの大学を出たかというよりも、どのような資格を取得したかで職業が決まります。
生涯学習も非常に盛んで、だれでも働きながら、または引退後に学ぶことができます。また、すべての自治体が図書館を備えています。2001年のOECDのPISA調査で、フィンランドの学生の能力と教育レベルは世界一と評価されました。
日本日本 デンマークデンマーク フィンランドフィンランド アイスランドアイスランド ノルウェーノルウェー スウェーデンスウェーデン
教育機関への
公的支出対GDP比
(2000年)
4.6% 6.7% 5.6% 6.3% 5.9% 6.5%
教育費用全体に
占める公的支出の割合
(2000年)
75.2% 96.0% 98.0% 91.1% 98.7% 97.0%
出典 OECD (2003) Education at a Glance 2003

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